初めての新築分譲マンション購入時の住宅ローンの選び方ガイド

初めて分譲マンションを購入する場合、現金での購入でなければ同時に住宅ローンも組まなければなりません。大きな金額を長期に渡り返済しますので、マンション選びと同様に住宅ローン選びも大切です。そこで本稿では住宅ローンを選ぶ際の注意すべきポイントなどについて説明します。
ここでは実際に筆者が新築分譲マンションを販売している中でお客様に注意して頂きたい点や昨今はご自分で金融機関を探しローンを組んだ後で後悔している点などを中心に書きました。
目次
1. マンションの申込から住宅ローンを実際に組むまでの流れ
2. 住宅ローンの借入先選びのポイント
3. 見落としがちな住宅ローンの注意点
4. まとめ
1.マンションの申込から住宅ローンを実際に組むまでの流れ

STEP 1 マンション購入時の事前審査(仮審査)
新築分譲マンションの購入したい物件が決まったらまずはそのマンションの購入申し込みをします。
一般的には、その申し込み時に住宅ローンの事前審査をマンション販売会社を通して各金融機関に提出します。
金融機関についてはマンション販売会社の提携金融機関となるケースが多いようです。
金融機関にもよりますが、通常1週間以内に審査結果が出ます。
この事前審査の承認をもって、分譲マンションの契約書にローン特約というローンが組めなかった時には契約が白紙となり支払った手付金も戻るという条件が付きます。これは初めてマンションを購入する方には安心できるポイントの一つでしょう。
注意点としてはマンションの契約前に実際に住宅ローンを組む金融機関がどの程度選べるのか予め販売担当者に確認しておきましょう。また、インターネット系の金融機関やフラット35の事前審査は精度が低い為、本審査を通さないとマンション販売会社は受け付けてもらえないケースが多いようです。
STEP 2 マンション契約後の金融機関の決定及び本申込(本審査)
マンションの契約が整ったら次は住宅ローンの本申し込みとなります。実際に住宅ローンを組む金融機関の決定です。
まずは変動金利や固定金利などの金利のタイプを決めて、次に各金融機関の金利やサービスなどを比較検討します。
最近は従来型の店舗のある銀行や信用金庫などのほかにインターネット専業の金融機関も様々な住宅ローンを提供しています。
マンションの購入資金で長期の借入ですから金利や手数料が少し違うだけでも大きな差となります。
また、最近の金融機関は住宅ローンに付帯する団体信用生命保険とは別にがん特約や八大疾病特約などをオプションとして力を入れているようです。
金利や手数料のほか、保証料や生命保険料などが各金融機関や商品によっても様々です。
これらを比較検討し決定するのは初めて住宅ローンを利用する場合は戸惑いがちですが、その金融機関の使い勝手や金利、手数料など重視するポイントを絞って決定しましょう。
STEP 3 金融機関との住宅ローンの本契約(金銭消費貸借契約)
住宅ローンの本審査の承認が下りたら申し込みをした金融機関と借入の本契約である「金銭消費貸借契約」を結びます。
店舗型の金融機関の場合はその店舗で、インターネット系の金融機関の場合は郵送でのやり取りが一般的です。
この金銭消費貸借契約には実印や住民票、印鑑証明なども必要となります。したがって、まだ印鑑登録をしていない方はこの金銭消費貸借契約までには登録しておきましょう。
STEP 4 住宅ローンの融資実行(マンション購入資金の決済)
前記の金銭消費貸借契約が終われば、その契約時に設定された期日に住宅ローンが実行されます。提携金融機関を利用の場合は直接住宅ローンがマンション販売会社に振り込まれます。提携金融機関以外の場合は一旦、ローンの名義人口座を経由してマンション販売会社に振り込まれます。
新築マンションの場合はマンション全体の契約者を一斉に決済しますので、平日に融資実行して鍵の引渡しは週末というケースが多いようです。
2.住宅ローンの借入先選びのポイント

住宅ローンを提供する金融機関はたくさんあります。それらは店舗のある従来型の金融機関とインターネット系の金融機関の二つに大きく分けられます。
この二つのタイプの金融機関について、それぞれの特徴などを説明します。
2‐1 店舗型金融機関
本店や支店などの街でよく見かける銀行や信用金庫などの従来からある金融機関です。
最近は店舗型の金融機関もインターネットでの受付なども強化しているようです。
メリット
・窓口で銀行員と対面で相談できる。
・事前審査の申込から実際の融資実行までの流れがスムーズにできる。
・支店や窓口が充実していて安心できる。
・会社経営者や開業医などは取引のある地域の銀行や信用金庫などの方が審査がスムーズに進みます。
デメリット
・原則、支店のない地域では融資を受けられない。
・インターネット銀行と比較すると相対的に金利がやや高め。
2‐2 インターネット系金融機関
インターネット上の取引を主としていて、支店や窓口が限られている金融機関です。
最近は大都市圏を中心に営業所や代理店などの窓口を設置し始めている金融機関もあります。
メリット
・店舗型の金融機関と比較すると住宅ローン金利は低い傾向。
・店舗に出向くことなくインターネット上や郵送でのやり取りで住宅ローンが完結できる。
・新築分譲マンションの場合、離島を除き全国で融資が受けられる。
デメリット
・事前審査の精度が低く、本審査で不承認となることもある。
そのため、新築分譲マンションの売買契約時に必要な事前審査については受け付けてもらえないことがあります。
・審査に要する時間が読めず、事前審査から融資まで数か月掛かることもあります。
・自分で住宅ローンの手続きを完結しなければならない。
3.見落としがちな住宅ローンの注意点

住宅ローンを借り入れる上で注意すべきところは借入額や金利だけではありません。住宅ローンの検討者が見落としがちな次の保障特約や手数料・保証料、借入年数について説明します。
3‐1 保障特約
3‐2 保証型と手数料型の違いについて
3‐3 借入年数
3‐1 保障特約
昨今の金融機関は住宅ローンに団体信用生命保険以外のオプションとして3大疾病保険やがん保険などの様々な保障を付けたりしています。
日本銀行のマイナス金利政策により単純な金利競争も限界があるのか保険などの付帯サービスで差別化を図ったりしているようです。
保険特約を付ける場合は3大疾病や8大疾病の特約付きでも各金融機関により様々で、実際に入院した場合の保障の開始時期や金利の上乗せなどにも注意して検討しましょう。
3‐2 保証型と手数料型の違いについて
次に保証料型と手数料型について説明します。特に店舗型の金融機関は「保証料」が住宅ローンと別途に必要です。その支払方法はローン金利に上乗せする内枠型と一括先払いの外枠型とありますが、総支払額としては外枠型の方が有利です。
インターネット系の金融機関は「保証料」は必要無いですが返済年数に関係なく一律2.2%程度の「手数料」が掛かります。
一般的に「保証料型」の費用は35年返済の場合は借入額の2.1%程度に事務手数料55,000円程度を加算した額で「手数料型」とほぼ同程度ですが、25年返済の場合は借入額の1.8%、20年返済の場合は1.5%程度の「保証料」となります。
参考例 3,000万円 借入の場合
手数料型(一律) 3,000万円×2.2%=66万円
保証料型(35年) 3,000万円×2.1%+5.5万円=68.5万円
保証料型(30年) 3,000万円×2.0%+5.5万円=65.5万円
保証料型(25年) 3,000万円×1.8%+5.5万円=59.5万円
保証料型(20年) 3,000万円×1.5%+5.5万円=50.5万円
上記の様に手数料と保証料の金額だけを見れば返済年数が短ければ「保証料」の方が費用を抑えられます。
しかし、一般的には「手数料型」の方が金利が低いケースが多いようなのでどちらがお得なのか慎重に検討しましょう。また、保証料は早めの繰り上げ返済により完済した場合、保証料の返金が受けられる場合もあります。
3‐3 借入年数
住宅ローンは団体信用生命保険や上記の保障特約もあり長期で安心して組めるローンです。そのため安易に最長期間の35年で組むケースも多いようですが、特に途中で繰り上げ返済をお考えの方は少しでも短い期間で住宅ローンを組んだ方が有利です。
下記の表はその比較です。借入額3,000万円、固定金利1%の場合でわずか1年短くしただけで、10年後と20年後のローン残高は10万円単位で違います。しかも毎月の返済額は約2千円多く支払うだけです。

このように1年違うだけでも小さくない差が出ますので、金利だけではなく借入年数もよく考えて住宅ローンを組みましょう。
4.まとめ

本稿では新築マンションの申込から実際にローンを組むまでの流れやその中での金融機関を選ぶポイントについてなど説明しました。
金利や金利のタイプの違いも当然選択のポイントになりますが、それ以外にも重要な検討ポイントがあることがお分かり頂けたでしょうか。
住宅ローンは利率や固定金利、変動金利、フラット35などの金利タイプの他にも検討するべきことが多くあります。初めて住宅ローンを利用する方は借入額が大きいですから悩みも大きくなりがちですが、将来に渡っての金利の動向やご自身の収入、又はご家族の状況などを完璧に予想することは不可能です。
例えば、現在の様な低金利は既に20年以上続いています。その間、変動金利のリスクを煽る方がいましたが、結果としては間違っていたようです。今後も現在の低金利が続くのか、又は金利が上がるのかは誰にも分りません。最終的には住宅ローンの利用者ご自身で判断しなければなりません。
しかし、借入の利息負担が大きいのは住宅ローンの借り始めです。その後は元金の返済も進みますので、あまり遠い未来を考え過ぎずにゆとりのある資金計画で余裕を持って住宅ローンを検討しましょう。