住宅ローンの繰り上げ返済は損なのか?

分譲マンションなどの住宅の購入についての相談で、よく現金での購入と住宅ローンを利用しての購入のどちらが良いのかと質問を受けることがあります。
同時に、住宅ローンを利用した場合の「繰上返済」は「住宅ローン減税」が不利になるのでは?と言う質問も多く受けます。特に、金利1%未満の住宅ローンを利用した場合は疑問に思うようです。
それでは、設定条件を借入れ4,000万円、変動金利0.6%、35年返済として具体的に考察していきましょう。
目次
1. 繰上返済なし
2. 3年後 100万円繰上返済
3. 5年後 200万円繰上返済
4. まとめ
1. 繰上返済なし
上記の条件で、当初10年間繰上返済をしない場合の住宅ローン減税は10年間で最大約340万円ほどです。収入や家族構成にもよります。
2. 3年後 100万円繰上返済
上記の条件で、3年後100万円を繰上返済をした場合の住宅ローン減税は、100万円の1%は1万円ですので残りの7年間は繰上返済をしない場合と比較して毎年1万円マイナスとなり
10年間の減税総額は最大約333万円になります。
しかし、繰上返済により約1年の残期間の短縮と約21万円の利息軽減となります。
よって、住宅ローン減税はマイナス7万円ですが、利息軽減は21万円で繰上返済をした場合の方が約14万円お得となります。
3. 5年後 200万円繰上返済
次に5年後200万円を繰上返済をした場合の住宅ローン減税は、残りの5年間の減税額のマイナスは10万円となり10年間の減税総額は最大約330万円となります。
しかし、繰上返済により約2年の残期間の短縮と約38万円の利息軽減となります。
よって、住宅ローン減税はマイナス10万円ですが、利息軽減は38万円で繰上返済をした場合の方が約28万円お得となります。
4. まとめ

このように、1%を下回る0.6%という低い住宅ローン金利の場合でも繰上返済をした方がお得な訳ですからこの金利より高い場合はなおさらです。
1%の減税と0.6%の金利を単純比較すると勘違いしがちです。年末残高はあくまで金利を払いながらの残高です。しかし、繰上返済はダイレクトに元金を減らしますのでその分の金利やローンの残期間が短縮されます。
よって、住宅ローン減税の途中であっても繰上返済はお得ですし、早くに繰上返済をすればするほどお得となります。
したがって、住宅ローンを利用の場合はそもそも当初の借入額を少しでも減らして利用するのが最もお得な利用方法ということです。